受動から能動へ PLAYBACK FC東京 2003

PLAYBACK FC東京
12 /16 2005
原東京2年目となる2003年。
現有戦力による底上げという方針で行われた移籍動向は以下の通り。
2003s.jpg

新加入はたった3人だけれど、必要な人材をほぼ過不足なく獲得できた。
特に磐田で便利屋のような扱いだった金沢の獲得に成功したのは双方にとって非常に大きかった。
ボランチに即戦力が欲しかったけれど、次の年にスーパーな選手を獲得できたので結果オーライか。
また、石川がレンタル期間を延長し、前年出場機会が減った由紀彦が横浜FMにレンタル移籍した。

原博実監督は、2003年を積み上げの年と位置づけ、オプションとしてアマラオと阿部の2TOPに取り組んだ。
また、終盤に点を取られた昨季を踏まえ、今季は90分を考えた戦い方もしていくと語った。

PSM 清水エスパルス △ 2-2

PSMではいきなり金沢が退場(笑)
しかし、宮沢のゴール土壇場で追いつきドローに持ち込んだ。
東京は少なくなると強いのだ。

2003年はおかしな年で、リーグ戦に先駆けてナビスコカップが開幕した。

NCGL第1節 横浜F・マリノス ● 0-1
NCGL第2節 横浜F・マリノス △ 2-2


両チームとも開幕に照準を合わせていたせいか凡戦だったようだ。
そして開幕へ。
オープニングゲストには東京スカパラダイスオーケストラがやってきた。

1stステージ

第1節 柏レイソル ○ 2-1

開幕布陣

     阿部
 戸田  ケリー  石川
   宮沢   浅利
金沢 茂庭  ジャーン 加地
     土肥

あまりいい内容ではなかったものの、根引のチョンボを戸田が押し込むなどで勝利。
金沢が起点になったのが収穫といえるかな。
とにかく開幕戦連続勝利記録だけはしっかり守った。

第2節 緑 ● 1-2

調子の上がらない東京は緑より多くシュートを放ったものの敗戦。
アマラオが復帰したのと終了間際に憂太のヘディングで一矢報いたのが慰めだった。

NCGL第3節 ベガルタ仙台 ○ 4-1

煮え切らない試合が続き、業を煮やした原監督はベンチにDFを置かない策に出た。
この姿勢が選手に伝わり、高桑のチョンボから戸田が得点すると試合終了まで攻めきり快勝。
久しぶりに気持ちのよい勝利を味わった。

第3節 セレッソ大阪 △ 0-0
第4節 名古屋グランパスエイト △ 1-1
NCGL第4節 柏レイソル ○ 4-0


再び煮え切らない試合を経てナビスコカップで爆勝。
ナビスコカップはストレス解消の場か。

第5節 鹿島アントラーズ ● 0-2
第6節 ヴィッセル神戸 ○ 1-0
第7節 ガンバ大阪 ○ 1-0


鹿島に格の違いを見せ付けられたものの、神戸戦で阿部ちゃんによるリーグ初ゴールで1ヶ月ぶりのリーグ戦勝利を得ると、ガンバ戦ではイシカジ右サイドがガンバを切り裂いた。

第8節 横浜F・マリノス ● 2-3

佐藤と久保のコンビにしてやられるも必死に追いすがる東京。久しぶりに先発出場した文丈がオーバーラップで気迫のゴール。
勢いづいた東京だがカウンターから安永に点を奪われ、更に遠藤の3人を交わす個人技で追加点を許してしまった。
とにかく攻めるしかない東京は波戸を退場に追いやるなど押し込んだが肝心の得点をなかなか奪えず、浄が85分にやっと1点返すに留まった。
結果は負けだったが気持ちのぶつかり合った好試合だった。
この試合を境に東京は成長した姿を見せ始めた。

第9節 大分トリニータ ○ 2-1
第10節 ジェフユナイテッド市原 △ 0-0
NCGL第5節 柏レイソル △ 0-0
第11節 ベガルタ仙台 ○ 2-0
第12節 浦和レッズ ○ 1-0
NCGL第6節 ベガルタ仙台 ○ 2-1
第13節 清水エスパルス △ 0-0
第14節 京都パープルサンガ ○ 1-0
第15節 ジュビロ磐田 ● 0-1


東京は持ち前の攻撃性と現実的な守備のバランスを相手との兼ね合いで取れるようになり、最低でも負けない戦いが出来ていた。
決定力不足は相変わらずだが、それでも大分戦、京都戦は勝つべき試合で勝ち切った。
磐田には負けてしまったが藤田を称えるべきだろう。
また、仙台戦で当時強化指定選手だった徳永が初スタメンに抜擢され活躍。右サイドに新たな競争が生まれ加地の成長を促した。
ちょっとそれるけれど、京都はあのトンカントンカン…という珍妙な応援をまだ続けているのだろうか。
戸田がいきなり奪った盛り上がりをあの応援が掻き消してしまった事は今でも脳裏に焼きついている。

さて、尻上がりで1stを終えた東京はいよいよレアルマドリードとの対戦を迎えた。
非国民なマスコミに散々煽られ、ボルテージはいつになく高くなった。

サントリードリームマッチ レアル・マドリード ● 0-3

雨の中序盤から飛ばした東京だったがいい得点は生まれず、逆にベッカム様にFKを決められるとそのまま3失点で敗戦。
非常に悔しい思いをした。
また、このレアルマドリードの商業的成功を羨んで翌年以降欧州のビッグクラブが夏場の日本に押し寄せるようになった。

レアル戦のショックが残る中、原東京を象徴するニュースが流れた。

石川直宏選手 FC東京へ完全移籍決定のお知らせ
佐藤由紀彦選手 横浜F・マリノスへ完全移籍決定のお知らせ

石川は前年に原監督が口説き落として連れてきた選手。
味方が持てば素早くスペースへ走り、持てば自ら突破出来るスタイルが原監督の理想に合致し、加地と組んだイケイケ右サイドは東京にとって一番の武器になっていた。
一方、予めスペースが用意されて活かされ、他を活かすことの出来る佐藤は大熊監督時代のカウンター戦術を支えた選手だった。
しかし常に前から、を信条とする原監督の下では出場機会を減らし、この年から横浜FMへレンタル移籍。
技巧派が揃う中盤にマークが集まる分サイドにはスペースがあり、中には久保という絶対的なストライカー。
佐藤は輝きを取り戻した。
“俺達の由紀彦”と歌ってきたサポーターはツライ思いをしたが、選手自身にとっては素晴らしい移籍だった。

NC準々決勝 第1戦 浦和レッズ △ 2-2

再開緒戦はナビスコカップ。
戸田のゴールで2度先行したものの、その度追いつかれてドローに終わる後味の悪い試合となった。
浦和との相性の良さが崩れ始めた。

2nd ステージ

第1節 セレッソ大阪 ○ 2-1

2nd開幕戦はアマラオが待望の初ゴール!
阿部ちゃんも久々に決めていいスタートを切れた。

第2節 名古屋グランパスエイト ● 2-3

70分まで2点先行していたもののサリのバックパスから……。

NC準々決勝 第2戦 浦和レッズ ● 0-2

エメルソン一人にやられついに敗戦…。

第3節 横浜F・マリノス ○ 4-1

嫌な負け方が続いた東京だったが原監督の
「下を向く必要はない。自身を持ってやれ。レアルに35分攻めさせなかったのだからJのクラブを恐れる必要などない。」
の言葉で奮起。
積極果敢に前からプレスをかけてボールを奪ってはゴールに直行する原点回帰で横浜FMをサンドバック状態に。
特にそれまで調子が下降気味だった石川が、やはり原監督による「シンプルにやればいい。」の言葉で吹っ切れて4得点全部に絡む大活躍。
俺達の石川は古巣にキツイ恩返しをしてみせた。

第4節 大分トリニータ △ 0-0
第5節 ジェフユナイテッド市原 △ 2-2
第6節 ベガルタ仙台 △ 2-2
第7節 ジュビロ磐田 ● 1-2
第8節 京都パープルサンガ △ 1-1


横浜FM戦を見て恐れたのか、この頃から対戦相手が引いてくる事が多くなりその都度苦戦した。
2点リードを守り切れない悪癖もついてしまった。

第9節 鹿島アントラーズ ○ 5-1
第10節 浦和レッズ △ 1-1
第11節 清水エスパルス ○ 3-1
第12節 ヴィッセル神戸 ○ 4-1


しかし、スペースを与えられれば無類の強さを発揮。
特にアマラオの落しを受けるケリーが絶好調で散らしたり自ら持ち込んだりと相手を撹乱。
そのケリーに引き付けられたスペースを石川、戸田が好き放題に使って大量得点をあげた。
連日の大量得点で首位戦線に。
また、鹿島戦後に加地がチュニジア戦でA代表デビューした。

第13節 ガンバ大阪 ● 0-1

この試合も大量点で勝っておかしくなかったが全部松代に止められてしまった。
シュートが際どいコースに行っていたにもかかわらず、だ。
最初のハンドを審判が見逃していなかったら……。

この試合後、東京サポを揺るがすニュースが駆け巡る。

アマラオ退団決定

名実共に東京の顔だった選手の退団は東京にひとつの歴史が閉じる事を意味していた。
優勝戦線生き残り、そして何よりアマラオ最後のホーム試合を飾るべく緑戦に挑んだ。

第14節 緑 △ 1-1

優勝戦線生き残りを掛けるのは緑も同じ、しかし東京はそれ以上のものを背負っていた。
試合を掌握していたのは東京。
十八番のサイド攻撃に気持ちを乗せて緑を襲う東京。
75分には待望の先制点も手に入れた。
しかし、背負ったものが大きすぎたか…、上手く試合を終わらせる狡猾さを持たない東京は終了間際に飯尾に決められてしまった。
東京の優勝は夢となったが、それすらサポーターにとって些細なことでしかなかった。
アマラオへの愛がスタジアム、そしてアマラオの涙を包んだ。

第15節 柏レイソル ○ 4-2

アマラオのリーグ最終戦であったが、優勝の芽がなくなってしまったせいか東京の動きはこれまでになく鈍かった。
不甲斐無い戦いで前半を2点のビハインドで折り返した。
しかし、後半からアマラオが出場した事で雰囲気はガラリと変わった。
鬼の形相でボールを追いかけるキングオブトーキョーに引っ張られ、東京が柏を押し込んで石川が1点返すともはやハーフコートゲーム。
79分に阿部ちゃんのゴールで追いついてみせると、流れは更に加速。
その直後、ついにアマラオのゴールで逆転してみせた!
もう、ゴール裏はとんでもない騒ぎ。アマラオの名を叫び、拳を振り上げ、飛び跳ねる。
形なんてどうでもよかった。ただひたすらアマラオに気持ちを伝えたかった。
そして、アマラオはそれに応えてくれる漢だった。
なんとすぐ後にまたゴールを叩き込んで見せたのだ!
ここまでやってくれると、もうおれたちは耐え切れなかった。
おれを含め、コールの声が上ずり始めてしまった。
試合中にああなってしまうのは後にも先にもこの時だけだろう。
おれにとって絶対忘れる事のない試合だった。
ただし、その後の乱入は余計だった。
感情は理解できるが、それを抑えるのもまた人だろう。

そして、アマラオの忘れ物を取りに天皇杯へ。

天皇杯3回戦 Honda FC △ 2-2
天皇杯4回戦 ヴィッセル神戸 △ 2-2


スペースを与えられないと苦戦するのは相手のレベルを問わないようで、天皇杯男阿部ちゃんの得点も報われずPK負けで天皇杯が終わってしまった。
残念ながら丸亀がどのような様子だったかは分からない。

前年度築いた土台からステップアップを図った東京。
通年上位につけ、4位という好結果を得た。
1stステージ、得点は少なかったが相手によって戦い方をアレンジして勝ち点を奪う姿には成長を感じた。
極端に引いたかというとそうではなく、前線からプレスを掛ける試合がほとんどだったがハーフカウンターを仕掛けるためのプレスだけでなく、相手の出しどころを抑えるためのプレスを掛けていた。
ただ、そうなると前線のスタミナの消耗が激しいのも確かで、チャンスの時に決め切れなかった。
しかしそれでも踏ん張って勝ち点を拾った。それが1stだったと思う。
これは目指しているサッカーでは無いと考えたのか、2ndステージでは前線からのプレスをハーフカウンターを仕掛けるためだけにやり尽くした。
攻めに出て来る相手にはこのやり方が面白いようにハマり、大量得点を挙げた。
中央でケリーが変幻自在の動きをするので相手はそちらに集中を傾けざるを得ず、空いたサイドのスペースを蹂躙した。
しかし、その事で引いた相手に苦戦する課題が忘れられ、天皇杯で再び思い知らされる事となった。
他では引き続き宮沢が東京の心臓として活躍し、新加入の金沢が東京に貴重なボールの収めどころとなって東京のDFラインに安心感をもたらした。
また、この快進撃は文丈の復活による処も大きい。
守備的に行くにしろ、攻撃的に行くにしろ、彼の絶妙なポジショニングがあったからこそバランスが保てたのだ。
実際、彼が交代で退いた後追いつかれたり逆転された試合が何度もあった。
ただ、石川が復活するきっかけになった「何も考えるな。シンプルにやれ。」という言葉は後の成長を阻害しているように感じる。
この甘い蜜を石川は未だに引きずり、工夫する事を忘れてしまい伸び悩んでいるように見える。
彼は工夫の出来ない選手ではない。それは1stで相手との兼ね合いを考え、その中で生かす術を見出した事で既に証明されている。
原監督という大きな器で若手が大暴れし、要所でアマラオ、文丈、土肥が締める。
2003年の東京は非常にバランスの取れた完成されたチームだった。
だからこそ、アマラオもひとつの区切りとして退団を決意したのかもしれない。
ただ、この年までは他チームがあまり警戒していなかったのも間違いないなかった。
東京が次なるステージに上がるには最善を抑えられた時に次善の手を打てるかどうかにかかった。
わずか2年で東京は受身のチームから能動的なチームへと脱皮していた。

2003基本布陣

    アマラオ
 戸田 ケリー 石川
   宮沢 文丈
金沢 茂庭 ジャーン 加地
    土肥

リーグ戦:4位 30戦13勝10分7敗 46得点31失点
ナビスコカップ:準々決勝敗退
天皇杯:4回戦敗退
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いぎーた

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